1. 炭酸ガスレーザーとは?
炭酸ガスレーザーは、医療現場で広く使用されているレーザー治療機器の一つです。特に皮膚科や美容クリニックで、ホクロやイボ、シミ、盛り上がったできものなど、さまざまなお肌のお悩みに対して活用されています。炭酸ガスレーザーは、波長が10,600nmの赤外線を発し、水分に反応して熱エネルギーへと変換される特徴があります。そのため、皮膚組織内の水分を蒸発させることで、ターゲットとなる組織のみをピンポイントで取り除くことができます。
このレーザーは周囲の健康な皮膚へのダメージを最小限に抑えつつ、治療したい部位だけを正確に削り取ることができるため、ダウンタイムや痛みが比較的少ないというメリットがあります。また、日本の医療現場では、患者様の生活背景や文化的な配慮も重視されており、目立つ傷跡を残さず自然な仕上がりを目指す治療法として選ばれています。
適応症状としては、ホクロやイボの除去だけでなく、脂漏性角化症や汗管腫、線維腫など幅広い皮膚疾患にも利用されています。さらに、盛り上がったシミや、小さなできものにも有効です。炭酸ガスレーザーは日本人の肌質にも合いやすいため、多くの方が安心して施術を受けられる選択肢となっています。
2. 治療時の痛みやダウンタイムについて
炭酸ガスレーザー施術を検討されている方から、「治療中は痛みがありますか?」「施術後に赤みや腫れはどれくらい続きますか?」といったご質問をよくいただきます。ここでは、治療中や治療後の痛み、赤み・腫れなどダウンタイムに関するよくあるご質問と、そのケア方法についてご説明いたします。
治療中の痛みについて
炭酸ガスレーザーは、照射部位にピンポイントで作用するため、一般的には軽いチクチク感や熱さを感じることがあります。多くのクリニックでは、患者様のご負担を軽減するため、事前に麻酔クリームを使用することが一般的です。個人差はありますが、麻酔を使用することで痛みをほとんど感じずに施術を受けられる方が多いです。
痛みの感じ方(目安)
| 症状 | 痛みの強さ(10段階中) | 対策 |
|---|---|---|
| 麻酔なし | 5〜6 | 冷却・短時間施術 |
| 麻酔あり | 1〜2 | 麻酔クリーム・ジェル使用 |
治療後のダウンタイムについて
施術後は、治療部位に赤みや腫れ、軽度のヒリヒリ感が現れることが多いですが、これらは数日〜1週間ほどで自然に落ち着いていきます。かさぶたができる場合もありますが、無理にはがさず、自然に剥がれるのを待つことが大切です。
ダウンタイム中によくある症状とケア方法
| 症状 | 持続期間(目安) | ケア方法 |
|---|---|---|
| 赤み | 1〜3日 | 冷却・保湿 |
| 腫れ | 1〜5日 | 冷やす・安静 |
| かさぶた | 5〜7日 | 無理にはがさず自然に剥がれるまで待つ |
| ヒリヒリ感 | 1〜3日 | 刺激を避ける・保湿 |
ケアのポイント
施術後は、できるだけ患部を清潔に保ち、強くこすったり触ったりしないよう注意しましょう。また、紫外線対策として日焼け止めをしっかり塗ることも大切です。お肌が敏感な状態なので、刺激の少ないスキンケア用品をご使用ください。ご不安な点がある場合は、遠慮なくクリニックへご相談ください。

3. 治療後のケアと注意点
炭酸ガスレーザー施術後は、適切なアフターケアがとても大切です。ここでは、ご自宅でのケア方法や日常生活で気をつけるポイントについて、医師の立場から分かりやすくご案内いたします。
施術直後の過ごし方
レーザー照射後は、患部が赤くなったり、ヒリヒリ感を覚えることがあります。無理にこすったり、引っ掻いたりせず、清潔な状態を保ちましょう。必要に応じて、医師から処方された軟膏などをやさしく塗布してください。
ご自宅でのケア方法
1. 洗顔・入浴について
施術当日はなるべく洗顔や入浴を控え、翌日からはぬるま湯で優しく洗うようにしましょう。強い摩擦や熱いお湯は避けてください。
2. 保湿
治療部位が乾燥しやすくなるため、低刺激の保湿剤でしっかりとケアしましょう。かゆみやつっぱり感がある場合も、こすらず優しく塗布してください。
3. 紫外線対策
施術後は肌がとても敏感になっていますので、日焼け止めや帽子・マスクなどで紫外線をしっかり防ぎましょう。特に色素沈着のリスクが高まるため、直射日光は避けてください。
日常生活で気をつけること
- 施術部位へのメイクは、医師の指示があるまで控えましょう。
- 汗をかく激しい運動やサウナ、飲酒は数日間控えてください。
- かさぶたができた場合は、自然に剥がれるまで無理に取らないようご注意ください。
もし異常を感じたら
赤みや腫れが長引く、強い痛みや発熱など異常が見られる場合は、自己判断せず速やかにクリニックまでご相談ください。安心して治療を受けていただくためにも、ご自身の肌の変化に気を配ることが大切です。
4. どのような方におすすめ?禁忌事項について
炭酸ガスレーザー治療は、さまざまな皮膚トラブルに対して効果的な施術ですが、全ての方が受けられるわけではありません。ここでは、治療が向いている方と、逆に注意が必要なケースや禁忌事項について詳しくご説明いたします。
炭酸ガスレーザー治療が向いている方
| 対象となる症状 | 具体例 |
|---|---|
| 良性の皮膚腫瘍 | ほくろ(母斑)、脂漏性角化症、軟性線維腫など |
| イボ・ウオノメ | 尋常性疣贅、老人性疣贅など |
| 小さな盛り上がりやしこり | 汗管腫、稗粒腫など |
| 傷跡を最小限に抑えたい方 | 切除よりもダウンタイムや傷跡が少ない治療を希望する場合 |
治療ができない場合・注意が必要なケース
以下のような場合には、炭酸ガスレーザー治療を受けることができない、もしくは特別な注意が必要となります。
| 該当ケース | 理由・注意点 |
|---|---|
| 悪性腫瘍の疑いがある場合 | 診断確定前の施術は避ける必要があります。組織検査が優先されます。 |
| 妊娠中・授乳中の方 | 安全性への配慮から原則として施術を控えています。 |
| ケロイド体質や重度アレルギー体質の方 | 傷あとや色素沈着などリスク増加のため慎重な判断が必要です。 |
| 出血傾向のある疾患や抗凝固剤服用中の方 | 出血リスクが高まるため医師と相談してください。 |
| 感染症がある部位への施術希望時 | 炎症や感染拡大のおそれがありますので、治癒後に施術をご提案します。 |
| 日焼け直後や強い皮膚炎症がある場合 | 肌状態が不安定なため回復を待ってからの施術となります。 |
日本でよくあるご質問:施術前のカウンセリングについて
ご自身に適しているかどうか心配な場合は、必ず事前カウンセリングで医師と相談しましょう。日本のクリニックでは患者さま一人ひとりに合わせた丁寧な説明を心掛けておりますので、ご不安な点は遠慮なくお伝えください。
5. 料金や回数、予約方法について
炭酸ガスレーザー施術を受ける際に、多くの方が気になるのが「費用」「施術回数」「予約の流れ」です。ここでは、それぞれについて詳しくご説明いたします。
治療にかかる費用について
炭酸ガスレーザーの施術料金は、治療する部位や範囲、症状によって異なります。たとえば、ほくろやいぼの除去の場合、1か所あたり数千円から数万円程度が一般的です。複数個所の場合はセット料金が設定されているクリニックもあります。保険適用か自由診療かによっても費用は変わりますので、事前に医療機関へご確認ください。
必要な施術回数について
炭酸ガスレーザーによる治療回数は、個人差や症状によって異なります。小さなほくろやいぼであれば1回の施術で完了することが多いですが、大きさや深さによっては複数回の施術が必要な場合もございます。医師が診察し、最適な施術計画をご提案いたしますので、ご不安な点はお気軽にご相談ください。
予約の流れについて
施術をご希望の場合、まずはカウンセリングのご予約が必要です。多くのクリニックではお電話やウェブ予約フォームからお申し込みいただけます。初回カウンセリングでは、医師が症状やご希望を丁寧に伺い、最適な治療方法や費用、必要な回数などをご説明します。その後、同意を得てから施術日のご予約をお取りいただく流れとなります。お忙しい方にも配慮し、平日夜間や土日も対応しているクリニックもございますので、ご都合に合わせてご利用ください。
まとめ
炭酸ガスレーザー施術を安心して受けていただくためには、事前に費用や回数、予約方法などをしっかり確認することが大切です。ご不明な点やご心配なことがございましたら、どうぞお気軽に医療スタッフへご相談ください。
6. よくあるトラブルや副作用
炭酸ガスレーザー施術で起こりうる主な副作用
炭酸ガスレーザー施術は比較的安全な治療法ですが、まれに以下のようなトラブルや副作用が生じることがあります。施術を受ける前に、これらの可能性について知っておくことが大切です。
赤みや腫れ
施術後、照射部位に赤みや腫れが現れることがあります。通常は数日以内に自然と落ち着きますが、冷やしたタオルで優しく冷却することで症状の軽減が期待できます。
色素沈着や色素脱失
ごく稀に、照射部位に色素沈着(肌が濃くなる)や色素脱失(肌が白く抜ける)が生じることがあります。紫外線対策や保湿をしっかり行い、必要に応じて医師が処方する外用薬でケアします。
瘢痕化(傷跡)
傷の治り方には個人差があり、体質によっては瘢痕(傷跡)が残る場合もあります。強い炎症やかさぶたを無理に剥がすことは避けましょう。異常を感じた場合は早めにご相談ください。
トラブルが起きた際の対応方法
1. すぐに医師に相談する
副作用や異変を感じた場合は、自己判断せず必ず施術を受けたクリニックや医師にご相談ください。早期対応が大切です。
2. 指示されたアフターケアを守る
医師の指示通りのアフターケア(軟膏の塗布や紫外線対策など)を徹底してください。適切なケアでトラブルのリスクを最小限に抑えられます。
まとめ
炭酸ガスレーザー施術は安心して受けられる治療ですが、まれに副作用やトラブルが起こることもあります。気になる症状があれば、ためらわず専門医へご相談ください。皆さまの安心と安全を第一に考え、サポートいたします。
